カロリン・フライシャー

日本学、演劇学
(奨学生, 2012年4月1日 - 2013年3月31日)- 日本近現代文学、演劇学、映画学
- グローバリゼーション研究
- インターメディア研究
博士論文要旨
ワーキングタイトル:寺山修司の散文、演劇、映画におけるグローバリゼーション
寺山修司(1935‐1983)は、戦後日本における知識的かつグローバル化した対抗文化(カウンターカルチャー)の旗手と特徴づけられる。このかつての超越的アンチ・ヒーローは、今日の日本においても、芸術および教養文化のシーンで高き知名度を得ている。寺山の作品は、多岐に渡って研究され、伝え教えられ、展示され、上演されてきている。
しかし、欧米では今日、寺山はほとんど知られていない。従って、彼の作品に関する研究は、日本国外では稀である。数少ない論考は、主に寺山の演劇作品に集中している。そのため、寺山の多岐に渡るその他の創作および活動分野、すなわち、伝統的日本の詩歌、散文、放送劇、映画並びに写真などの分野は、あまり論じられることがなく、グローバリゼーションプロセスという観点から、彼の作品を分析する研究論文は、まだ例をみない。
本稿においては、寺山研究における未開拓の研究領域を切り開くことを目的としている。その際、インターメディア分析という方法によって、寺山の文学、演劇、映画に打ち出しているグローバリゼーションおよび寺山の作品と絡み合っているグローバリゼーションプロセスを分析する。分析の主要論点は次の通りである:
ア. 寺山修司の世界漫遊者としての芸術的な自己パフォーマンス
イ. 寺山の言語、芸術、文学に構想されているグローバリゼーション
ウ. 寺山作品におけるグローバリゼーションプロセス(日米関係および東アジアと日本の関係)
エ. 寺山作品に見られる津軽地方の地域性に反映されたグローバリゼーションプロセス