ライナ・シュルツァ
日本学、哲学
(奨学生, 2010年4月1日 - 2010年11月30日)- 井上円了
- 創立期の東京大学における西洋哲学の受容
- 明治時代の仏教思想
- 仏教哲学
博士論文のテーマ
「Inoue Enryō – Buddhist, Philosopher of Enlightenment and Educator」(仮)
欧米諸言語の研究においては、井上円了のみを中心テーマとする初めての博士論文である。井上円了の著書を収録した『井上円了選集』は全部で25巻あるが、そのうち欧米の研究者に知られいる著作は少なく、殆ど知られていないものが多い。この博士論文では、井上円了の幅広い思想と活動を欧米の読者に紹介し、今後の研究を容易にするようなバランスの取れた記述を目指している。
論文の第一部は、東本願寺の僧侶として東京大学で勉強していた青年・井上円了が何からどのような影響を受けたかを研究するつもりである。哲学科を卒業してから、教団に帰らないで、哲学の立場から仏教の改革を進めようとした動機や理由を出来るだけ明確にする。
第二部は、井上円了の主な活動領域を紹介する予定である。(1)現在の東洋大学の前身である哲学館の設立(2)「妖怪学」(迷信克服)と全国巡講 (3)哲学堂公園の設立。このような具体的な事象を様々な角度から事実を記述する。
そして、第三部は後期の井上円了の仏教哲学に集中する。特に井上円了の『仏教活論』の第三部である1912年の『活仏教』を対象の中心とするつもりである。