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Deutsches Institut für Japanstudien
Kevin Schumacher

Kevin Schumacher

Kevin Schumacher
日本学, 美術史, 文芸学
2019年5月 〜
(奨学生, 2019年5月6日 - 2020年2月29日)

schumacher@dijtokyo.org

漱石を描く
世紀末背景(1880〜1919)の夏目漱石の作品における絵文交流関係について

夏目漱石(1867〜1916)ほど世紀末の文化的、社会的激変とそれに伴うアンビバレンスに強く繋がっている作家は居ない。漱石の作品は内容的に、または作品領域的にも多様である。そして彼の作品群には、近代化、あるいはグローバリゼーションを語る上でのディスコースがちりばめられており、さらにそれらは現代にも繋がって来るのは興味深い。

夏目漱石の初版本には、多くの挿画や特別なデザイン(装幀や函)があったにもかかわらず、彼の作品研究は現代に至るまで、ほとんどが文章、あるいは言葉の面のみに限られている。この研究では、漱石の作品をGesamtkunstwerk(全体芸術品)としてとらえるのが私の出発点である。彼と挿絵アーティストたちとの間に積極的は交流を持ち、挿絵と文章の相互作用を作り出したことは、夏目漱石の重要な功績である。さらに彼の作品とその挿絵は、歴史的な政治背景のプリズムとして見ることもでき、日本と西洋との文化的な相互関係としての意味も感じることができる

研究方法としては、美術史的な立場から、絵とそのモチーフ、そこに生じる意味や、歴史の中でのディスコースを追求し、漱石と近代、世紀末についての議論、研究をビジュアルからのアプローチで広げていきたい。

本論文の目的は、夏目漱石の作中にある様々な挿絵のモチーフを分析的に論じ、ここにおける/ここから始まる絵文交流関係を解き明かすことである。