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帝国日本の幸福論 — 社会・政治言説における「幸福」概念の歴史化を目指して

「幸福」という概念とそれについての言説は決して20世紀末や21世紀から始まった現象ではない。遅くとも明治中期から「幸福」という概念は政治・社会・宗教などについての様々な論争において重要な役割を演じてきた。ドイツ日本研究所の主な研究テーマである「幸福の所在―その変容と持続」の一環として、このプロジェクトは近代日本の社会・政治言説における「幸福」概念を概念史の視点から研究している。

このプロジェクトの主な目的は次の二つである。第一に、今まで現代社会を中心に行われてきた「幸福」の研究を歴史的に見ることにより、それを文脈化すること。第二に、従来の概念史では注目されてこなかった「幸福」の概念の研究によって、概念史の多様性に貢献すること。

本プロジェクトで扱う「幸福」は“望ましい生活状況”(desirable living conditions)と抽象的に定義されている概念を指す。このような抽象的な概念は個人の自由や平等などといった相補概念により具体性を得ると考えられる。このような意味では、「幸福」という概念は一般的に同意しやすい目的(つまり「幸福の追求」)のプロキシとして考えられる。しかしながら「幸福の追求」のフレーズで実際に提案されたのは、民主主義、社会主義もしくはキリスト教の伝道や帝国主義の宣伝などといった、論議を巻き起こす政治的または社会的アジェンダである。この点では「最大多数の最大幸福」の実現を目指す政治化された、功利主義に基づいた幸福論だといえるであろう。

それに加えて、本プロジェクトでは「日常歴史」の視点からクオリティ・オブ・ライフと“人生に満足している状態”(well-being)を表す幸福感が帝国日本の時代の日本人にどのように定義され、経験されたかについて研究している。

スタッフ

トルステン・ヴェーバー
(歴史学、近代東アジア史、日本学)
人文科学研究部部長

プロジェクト

幸福の所在―その変容と持続