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Deutsches Institut für Japanstudien
カタリーナ・ヒュルスマン

カタリーナ・ヒュルスマン

カタリーナ・ヒュルスマン
カルチュラル・スタディーズ、ジェンダー学、ファン研究
2017年4月 〜
(奨学生, 2017年4月18日 - 2017年10月31日)

huelsmann@dijtokyo.org

Japanese dōjinshi about the Marvel Cinematic Universe – Between Consumption and Subversion, Between Transcultural Fandom and Periphery
日本のマーベル同人誌、受用と抵抗・異文化間のファンダムとその周縁
それぞれの間に何があるのか?

この研究は、日本における「マーベルユニバース」同人誌文化の分析を行うものである。「マーベルユニバース」とは、アメリカの二大コミック出版社の一つである「マーベル」社から出ているヒーローコミックスのヒーローたちが造り出す世界観であり、具体的には、近年、映画になって人気を博している「アベンジャーズ」シリーズや、「キャプテン・アメリカ」シリーズ、「アイアンマン」シリーズ、「スパイダーマン」シリーズ等を指す。これらの作品は個別のヒーローの物語でもあるが、世界がお互いに重なりあっており、「アベンジャーズ」ではマーベルのさまざまなヒーローたちが協力して活躍することはよく知られている。

  これらの作品については、英語圏でもたくさんの同人誌(ファンの二次創作/自費出版)が作られているが、この研究はとくに、日本における「マーベルユニバース」同人誌とその作者に注目する。アメコミの同人誌は日本ではとくに盛んなジャンルではないが、近年のアメコミ原作のハリウッド映画のヒットを受け、洋画関連のオンリーイベントである「ムービー・パラダイス」には、現在、約900サークルが参加しているという。同人誌文化においては、ある作品に登場する二人の男性キャラクター同士に、恋愛、もしくは恋愛に似た強い感情があるという前提で描かれる「やおい」二次創作が多く、これらの作家は基本的に女性である。

  この研究は、「ムービー・パラダイス」というイベントを中心に、「スーパー・コミックシティ」や「コミケット」での参与観察、作品分析、作者へのインタビューなどを行い、英語圏とは違う、日本の「マーベルユニバース」同人誌のあり方を明らかにしたい、というのが意図である。これによって、近年国際的に盛んになっているファン研究の中で、まだ欧米圏ではあまりよく知られているとは言えない日本の同人誌文化のあり方に光をあて、しかも「マーベルユニバース」という国際的に大きな訴求力を持っている共通の素材を扱った同人誌文化を分析することで、ありがちな「日本特殊論」に陥ることなく、国境を越えた同一コンテンツの広がりと、国や文化によって違う受容のされ方、ファンコミュニティのあり方の差異を比較し、見通すことを目的とする。