Philippe Bürgin

2023年3月 〜
フィリップ・ビュルギンは、2018年にルプレヒト・カール大学ハイデルベルクで哲学と英文学の学士号を取得し、2021年にシュトゥットガルト大学とパリ第8大学とのダブルディグリープログラムによって文化哲学専攻の修士号を取得した。2022年からは州立シュトゥットガルト芸術院の博士課程に在籍し、日本と西洋との美学における崇高と「Undarstellbaren」について研究している。特に、イマヌエル・カントの美学(判断力批判)と日本の伝統芸術(茶道、能楽、枯山水など)、そしてモダンアートとの交差点を探る研究に主眼を置いている。なぜなら、美学史において日本と西洋との芸術形式の間には美的類似性が見出されるからである。1850年以降の西洋近代美術は日本美術の潜在的な崇高さ抜きには語れないだろう。日本の美学は西洋近代美術に影響を与え、西洋の芸術家たちに「Undarstellbaren」という新しい芸術表現を扱わせるきっかけを作った。こうした日本絵画の影響を受けた芸術家(とりわけモネやルノワール、セザンヌといった印象派の画家たち)の作品は、西洋的な二元論に基づく美の概念を超えて、崇高な領域へと芸術を理解するためのディスクールを開いたのだ。それゆえ、日本的な芸術表現の崇高さは異文化間の審美について理解するためのフレームワークとなり得るだろう。