ノイツラ・ゾフィー

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2023年4月 〜
ノイツラ・ゾフィーは、2021年からルール大学ボーフムの東アジア学部の日本語・日本文学科博士課程に在籍している。専門は日本語学、キリシタン資料、デジタル・ヒューマニティーズと古書体学である。
ノイツラは現在、2019年にドイツのアウグスト公図書館で発見されたばかりのキリシタン写本の詳細な分析を含む学位論文に取り組んでいる。これはヨーロッパから持ち込まれたキリスト教の信仰と科学の最初の移転に関する貴重な資料である。16~17世紀にイエズス会により作成された『コンペンディア』(講義要綱)として知られている。ラテン語から和訳されたため、イエズス会がヨーロッパ言語の専門用語をどのように和訳したかを示すことができる。
ドイツ日本研究所でのプロジェクトは、言語学、計量文献学、デジタル・ヒューマニティーズからのアプローチを融合させる。新出資料の解読とデジタル翻刻の作成により、デジタルツールの応用が可能になった。ドイツでの発見以前は、日本語版の『コンペンディア』は一冊しか知られていなかったが、今回発見された二冊目の『コンペンディア』は今まで残されていなかった本文を持つ。不明だった欠落部分、いわゆる第二部「神学要綱」の一部と第三部「天球論」を補うことができる。これまで、写本の成立過程、翻訳手順や、筆写者・翻訳者は明確にされていなかった。本研究では、古書体学的手法・デジタル文体分析により、筆写者・翻訳者のプロフィルと、イエズス会の翻訳アプローチを明らかにすることを目指す。新出写本の翻刻と、その成立過程の解明は、日本語学、日本史、日欧交渉史等の分野の研究に寄与するものである。