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Deutsches Institut für Japanstudien

ニコル マリオン・ミュラー

ニコル マリオン・ミュラー
文学社会学、文化社会学、デジタルヒューマニティーズ
2023年10月 ~

mueller@dijtokyo.org

ORCID

私は、文学と社会が相互的に影響し合う関係について、デジタルヒューマニティーズの方法に基づいた計量的かつ定性的な研究に強い関心を持っている研究者です。

その関心の出発点は、慶應義塾大学とマルティン・ルター大学ハレ・ヴィッテンベルク日独合同修士課程ダブルディグリープログラムに在籍している2年間に行った研究でした。20世紀の日本におけるトーマス・マン著の短編『トニオ・クレーガー』の幾つかの邦訳を対象に、それぞれの翻訳の文体から、その時代の歴史的、社会的な影響が浮かび上がることに注目して、研究を行いました。この研究成果を文学社会学の視点から深めたいと考え、ハレ大学大学院の博士課程に進学しました。2017年と2022年の2回、慶應義塾大学の訪問研究員として研究を続ける機会を得て、トーマス・マンの著作の邦訳資料の分析を通じて、日本におけるトーマス・マンの受容ならびに20世紀の歴史におけるその位置づけに関して研究を続けました。その間には、翻訳文学の対照分析のためのデジタル方法論も新たに開発しました。2023年3月にその研究成果を博士論文にまとめ、ハレ大学で日本学の博士号を取得しました。

2023年10月にドイツ日本研究所の専任研究員となり、研究を続けています。これまでは社会的・歴史的文脈が翻訳文学にどのような影響を及ぼすかについて考えてきましたが、現在は、逆に焦点が文学やナラティブが現代の日本社会にどのような影響を与えるかという点に移っています。私は、現実空間とデジタル空間が融合したXR (Extended Reality)を例として利用し、日本人の未来についての考え方を、「Future Imaginaries」論や物語論を踏まえて考察し、文学やナラティブが日本のデジタル・トランスフォーメーションをどのように形作ってきたのかについて理解を深めたいと考えています。

DIJプロジェクト

Japan’s Future Imaginaries of Extended Reality

Text, Image, Context and MMR: Observations and reflections regarding digitally augmented Cultural Sociology

Thomas Mann’s reception in Japan between cultural heteronomy and emancipatory impulses

Recent Publications

Müller, Nicole (2024). "日本の『トーニオ・クレーガー』再翻訳の時代的変遷 : デジタル分析、関係的翻訳分析を通じて". 日本語と日本語教育, 52 (pp. 133-156). LINK