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Deutsches Institut für Japanstudien

Research Overview

Local Issues Take Stage – Culture and Community Revitalization:


English, PDF (1,9 MB)

地方の課題を舞台の俎上―文化と共同体の再活性化

近年、地方や共同体レベルの劇場が注目を集め続けており、文化的なものと言えば首都にほぼ局限されてきたこれまでの状況とは対照的である。地方芸術演劇祭ブームは、この傾向を裏書きするものと言える。同時に、世代を問わず様々な著名芸術家たちがこぞって周縁地域を目指し、その地方の生活者たちや抱える問題に、声を与えるものとしての創作活動に勤しんでいる。現在のプロジェクトでは、日本の地方社会が直面する様々な課題が、舞台作品や文化活動の形をとることでどのように表象され格闘されているかを精査する。芸術全般、ならびに地方演劇にあっては、人々がそれぞれの物語を再び紡ぎ、公共的側面を創出し、集合的経験や社会的ディベートを涵養するというプラットフォームとして機能し得る。さらに、地方共同体が演劇活動を通じて意見を持つことで、劇場は身体的・物理的な自主裁量権を手にし、共同体そのものも、その似姿として構築されていく。地方に於ける文化や演劇が問いかける事柄(例えば経済的苦境、高齢化、過疎化、東日本大震災の後難)は、日本のみならず他の多くの国々でも同様に直面している課題を礎とする。社会の変化や様々な課題に対しての、こうした芸術的な反応を、より広い意味で理解するのを促進すれば、現代日本文化を他国のロールモデルとして論ずることも可能になるのではないか。

現行プロジェクトでは、代表的な舞台作品のいくつかとその脚本を、置かれた社会的文脈に照らして詳細に分析し、舞台製作者と地方共同体の様々な階層との間に発生する相互作用、そして地元住民とそれ以外の人々が、製作を巡る協力関係をどのように捉えたのか、等について考察している。 こうした作品製作はまた、日本の地方社会が「理想化されたノスタルジアの宝庫」であるとか「遅れている《他者》」と措定されることについて、広範な議論を引き起こしていった点をも考慮に加えている。 様々な地方共同体への定性的ケーススタディに基づき、最終的には、文化活動というものがどの程度まで、個々人あるいは共同体レベルでの変化という形で実際に結実するのかどうかを、長期的視座から精査し、調査対象とした共同体間の共通点と相違点について比較する、というところまでを目標としている。

スタッフ

バーバラ・ガイルホルン
日本学/美術史/ドイツ文学